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2017年11月18日

『茶芯』と言う経年変化の魅力

こんにちはkabinkusa

よ~やく寒くなってまいりました。
ここ最近夏が長いですよねicon11。寒くなるとファッションが面白くなる季節。私も色々な案件を頂いてBlogの更新が疎かになっておりました。

さて、今回ご紹介するのは『茶芯』と言う経年変化face03
コアなレザー愛好家の方々はご存知かと思いますが、少し整理してみます。

そもそも『茶芯』の経年変化とは??
『茶芯』と言う言葉が浸透し始めたのは、90年代後半頃だったかと思います。
Red WingのエンジニアブーツであるRW2268だったかと思いますface06
新品の時に真っ黒なエンジニアブーツが履き込んだらうっすらと茶色くなってくるブーツが存在する。そんな噂や画像が出回りました。これもロシアンルーレットのようなモノで全てが茶色くなる経年変化ではありませんでした。その自分に『茶芯』と言う言葉が出回り始めました。

『茶芯』とはブラウンに染めたレザーの表面を別色で染めたレザーを採用したレザーアイテムを使い込むことによって、擦れたり擦れたりして芯にあるブラウンが露出した経年変化。

と言えますface06
話題になったのは90年代ですが、50年代のレザーアイテムに多く見られました。
一般的に見られるのは
・茶色に染色したレザーにブラックなどの顔料を吹き付けたレザーです。

50年代はホースハイド(馬革)も多く流通しており、傷の多いホースハイドの傷を隠すために顔料を吹き付けたと考えられますface06
何にしろ、ブラウンのコントラストがかっこ良い。使い込んだ質感を露骨に感じ取れるなどレザーアイテム愛好家を惹き付ける経年変化です。

私の自慢の相棒をご紹介させて下さい(笑)。
ヌメ革従来の経年変化も大好きですが、『茶芯』も大好きで様々な『茶芯アイテム』を私も所有しておりますkuma
そのうち自慢の相棒がこちら。

BUCOのシングルライダースであるJ-100で御座いますtanuki
愛用年数は6年ですが、秋~春先まで愛用しているので出番が多く、ショップ店員さんが驚くほど『茶芯』が出ています。現行のBUCO新喜皮革の茶芯仕様のホースハイド(馬革)を採用しています。

私も同素材でバッグを企画しましたが、このブログを執筆する直前に完売してしまいました・・・。オーダー頂いた方々はガンガン使い込んでバッグで『茶芯』を楽しんで頂きたいと思います。

で、一口に『茶芯』と言っても”茶の露出の仕方”は異なります。ダイナミックに様々な露出を楽しむのであればレザージャケットで『茶芯』を楽しむことをお薦め致します。私の愛用品で”茶の露出の仕方”をご紹介したいと思います。


茶芯~擦り切れ系~
長らく愛用していると不意にも壁なんかでこすってしまうと言うトラブルなんかもあります。その時表面の顔料が擦り切れちゃって『茶芯』が露出することがあります。それがコレ。

サンドペーパーって擦れたような感じになりますが、これもライフスタイルだと思います。
ブーツのつま先の『茶芯』の経年変化で多く見られるのが擦れ系で御座います。

茶芯~ヘリ返し・張力系~
レザーをへり返す。つまりレザーに張力をかけた仕立てを行うとラッカーが飛んでしまうことから発生する経年変化です。
ジャケットの場合ジャケットの裾に顕著に見られます。

私のジャケットは裾部分は全て『茶芯』の経年変化が現れています。

腕周りのパーツのつなぎ目などは随所にへり返し処理が施されており、『茶芯』の経年変化が露出しています。

ポケット周りもヘリ返し処理が行われており、ラッカーがひび割れたような雰囲気で『茶芯』の経年変化が発生しています。

茶芯~ナチュラル系~
『茶芯』の経年変化でもっとも美しいと言われるのがこのナチュラル系。
長年の長時間に及ぶ愛用によって自然とラッカーが剥離してしまうこの経年変化は茶のコントラストが最も美しいと思いますface03

ジャケットの場合襟周りが直接首に触れる為ブラックが自然と薄くなり、茶がうっすらと出てきます。

そして袖部分はもっともナチュラル系が出てきます。
ジャケットの場合一番動く部分ですから。

太陽の光加減にもよりますが、自然光でみるとまっ茶になってます。

ノコギリクワガタ虫の背中のようなブラウンぶりに満足ですface03
渡しの場合オイルアップは一切行っておりません。
夏場は暑いから着用しないので、寝かす前後に固く絞ったタオルで拭き上げて乾拭きすると言う行為を行うだけで、ひたすら着用するだけでございますtanuki

いや、『茶芯』の経年変化は何とも言い難い魅力が御座います。
今年のアウターでレザーを考えておられるならあえて『茶芯』と言うモノに着目して選ぶのもありですよ~。
アメカジ・レザー愛好家にはたまらん季節がまたやって来ました。

完売しちゃったけど、オーダーして頂いた方へ
今年は私も『茶芯』の経年変化を意識したアイテムをリリースさせて頂きました。

ショルダーバッグ:『Multi』
価格:64,800円(税込)

外装素材:馬革(新喜皮革)
内装素材:零号帆布(タケヤリ)
ブランド:Specialite
概算寸法:25cm×37cm×16cm
概算重量:1.0kg
カラー:Dark Brown/Black(茶芯)
企画:日本経年変化協会
製作:本田宏治

自分が愛用しているレザージャケットと同素材で一眼レフカメラバッグにもなるショルダーバッグをリリースさせて頂きました。
先週ぐらいまで在庫があったのですが、やはりこの時期になるとパタパタとオーダー頂き完売いたしました。
このレザー毎年春にしかゲットできないので、来春以降ですね。今回ご紹介した『茶芯』の経年変化をすべて堪能できるデフォルメとなっております。

ヘリ返し処理も勿論ですが、コバをそのまま露出してみたりしてます。
茶芯と従来のコバのコントラストが楽しみな設計です。

あえて、そのままにブランドロゴの刻印も施しております。
刻印の『茶芯』の経年変化は結構強烈に楽しいです。

ショルダーベルトはクッション素材を挟み込んで縫製を施しております。
ショルダーバッグで一番負荷のかかる部分で直接身体に触れるのでナチュラル系や張力系の『茶芯』の経年変化が露出することが必至。

本当は自分用に一つ取り置いて来年私自身が育てようと企んでいましたが、後輩が自宅まで来てお金置いて持って帰ってしまったので経年変化が確認できなくなっております。
オーダー頂いた方で『茶芯』の経年変化出たよ~って方また教えてください。
2~3年使い込んだぐらいじゃまだまだですよ~(笑)。
2015年10月17日

革の鞣しから経年変化を予測する

こんばんわkabinkusa
日本経年変化協会ですkuma

お詫びですicon11
ブログのコメント機能が上手く起動していないようで、コメントを承認してもコメントが反映しません。ブログ側の問題だと思うのですが・・・。
過去記事でコンドーム専用ケース『Dear Skin』を改良してリリースする報告をさせて頂きました。

早速かなりのご連絡を頂きました。コメントも「予約できますか?」的なコメントだったと思います。
凄く嬉しいですface03。予約だけで当初予定していた製作数に達しておりますが、パターンから見直し、改良しているのでご予約のご希望は嬉しいのですが、また改良版ができ次第ご報告させて頂きますので、ブログで現物を確認してから予約の受け付けを開始したいと思います。やっぱり形あるものを企画してるとモノを見ていただいてからの方がありがたいですkuma

さて、今回は皆様のご質問にまとめてご返答させて頂きたいと思いますが、内容はレザーアイテム好きのヲタクレベルface08で書かせていただきます。


最も多いご質問がこちら
実は色んなご質問を頂くのですが、いつも返答に困る質問の例を上げさせていただきます。

「レッドウィングの◯◯は経年変化しますか?」
「SchottとBUCO悩んでます。やはり価格が高い分BUCOの方がより良い経年変化しますか?」
「A-2が欲しくて悩んでます。バズリクソンズとリアルマッコイズどちらの経年変化が美しいですか?」

いや、マジな話返答に悩むんですけどicon11(笑)?
なので、今回この手のご質問に一気に答えようと決心した次第です。


そもそも経年変化とは何ぞや??
レザーアイテムの魅力は何と言っても独特の風合いの経年変化。
ようするにアイテムの使用感がそのままアイテムに反映されること。レザーだけでなくてジーンズの色落ちも含まれます。
ぶっちゃけると使用感は素材の劣化のこと。だから経年劣化が正しい。
これまたぶっちゃけると全てのレザーは使うと劣化する
では経年変化と経年劣化の違いは何ぞや。ずばり一言で表現しますkirakira
使用感が味わい深くかっこ良くなれば経年変化だ!!
カッコ悪ければ経年劣化だねicon11
でも経年変化が味わいだとしても味わいには人それぞれ好みがある。料理で言うと甘口が好きとか辛口が好きとか味覚に人それぞれ好みがあるのと同じかと思いますface06
レザーで言うとこの味わいの好みは
①レザーの仕上げによる違い。
②レザーの鞣しによる違い。
この2点だ。
レザーの仕上げは数えきれないほど多岐に渡るので、もはや説明不能icon11
なので、今回レザーの鞣しによる経年変化の違いを説明したいと思います。多分こんな特集組むのは日本経年変化協会ぐらいでしょうicon11。マニアック過ぎるから。さて、革の鞣しを
①タンニン鞣し
②クロム鞣し
③コンビネーション鞣し
④ヘビタン鞣し
⑤脱クロム鞣し
の5つの手法が代表的なので、5つの鞣しのレザーの経年変化の特徴を説明しますので、今後のレザーアイテムのお買い物で是非参考になればと思います。私はここ数年数々のレザーアイテムを企画して国内、国外の有名レザーを採用したり、タンナーさんと様々なレザーを企画して感覚的にそのレザーの経年変化が見えるようになってきました。その感覚的なモノをまとめるとこんな感じになります。

(注1)仕上げによっても左右されるので必ずしもではありません。
(注2)当協会の感覚的な主観による評価です。

評価の基準を
①変色による経年変化
②製品の可動部にシワが刻まれる経年変化
③革製品の重量。重さ。
④メンテナンスの頻度
⑤レザーの引き裂き強度(やぶけやすさ)
⑥耐熱(日光による日焼け)
⑦レザーの張り・分厚さ
⑧レザーの販売価格・相場
8つの項目で評価しています。

こうやって一覧で評価すると、変色やシワと言ったダイナミックな経年変化はやはりタンニン鞣し所謂ヌメ革なんでしょう。しかし、タンニン鞣しの革はメンテナンスをしっかりしないと破けやすいし、重たいし、なおかつ素材の価格が非常に高い。ぶっちゃけよう。タンニン鞣しのレザーの流通量など、レザー市場の10%前後だface06。ちなみに変色の経年変化は染色仕上げのレザーだけで、BUCOの革ジャンのようにレザーの表面に顔料を乗せると変色はない。茶芯は変色じゃなくて、顔料が剥がれただけ。

何か、レザーを特集した雑誌なんかは栃木レザーが最高のレザーだとか言ってつつ、Schottの特集でイチオシしたりしてるので少し笑ってしまう。現行品のSchottもライダースの老舗ブランドラングリッツレザーもクロム鞣し革だ。変色の経年変化は極めて控えめですが、引き裂き強度や耐熱が評価が良い。つまり丈夫なのはクロム鞣しの革って事です。レッドウィングのロガーブーツとかもあれはクロム鞣し革です。Schottも昔は、タンニン鞣しのレザーを採用してました。50年代のヴィンテージのワンスターとか馬革もあるぐらいでしたから。Schottは現行品も8万円前後でワンスターが販売されています。あれはクロムのレザーはタンニンよりも価格が安いことで抑えている事ができるとも言えます。ワンスターもタンニン鞣しに拘ると価格倍になるんやろうと思います。

レザーには一長一短あるのが鞣しの違いです。
各鞣しについては個別にブログで説明していきますね。

少々マニアックな内容にお付き合いお願いします(笑)。
2011年12月13日

経年変化とエイジングの定義

本日,無事に日本経年変化協会発足でき,興奮気味で自宅にたどり着きましたface02
株式会社ワイズエッグ様にWEBサイト制作を依頼させて頂いたものの,サイト開設までに準備段階でブログを書き溜めるように言われました。ブログを書くと言うのは非常に大変ですが,三日坊主にならないよう頑張って書いていきたいと思いますhand01。ブログの内容は専門的な用語から製品に至るまで出来るだけ書いて欲しいと言うことでしたので,本日発足のお知らせの直後ですが,本題について書きたいと思います。

経年変化とは?

経年変化とは,読んで字の如く「年を重ねるごとに変化していく様子」であり,辞書で調べてみると年月が経つうちに製品の品質・性能が変化すること。特に、摩耗・腐食などで性能が劣化すること。」と記されています。我々の日本経年変化協会では製品を長年使用することによる製品の変化と定義したいと思います。

エイジングとは?

私たちは度々,「経年変化によるエイジング」と表現することがありますface06。アメカジ系列のファッション雑誌などを開くと良く目にする表現です。
ところで”エイジング”と言う単語は実は日常生活で度々耳にしたことはありませんか?私は男性ですが,女性の方が良く耳にするかもしれません。
”エイジング”と単語は大きく二つの意味があります。
そう,1つは美容業界で使われる時,”エイジング=老化”と言う定義で用いられます。語源が英語のageから来ているからだと言われています。女性はきっと美容業界で耳にしているはずです。老化防止をアンチ・エイジングと表現していますicon11。老化と耳にしてそこに価値を感じるのは稀だと思います。
もう1つはワインやウィスキーなどのお酒の業界で用いられることがあります。その時は
”エイジング=熟成”と言う定義で用いられます。熟成されたワインは美味しいと表現しますね。

そう考えると製品にエイジングという表現は造語になるのですが,おそらく美容業界の意味ではなく,後者の”エイジング=熟成”と言う定義が近い意味でしょう。
デニムでは,デニムの穿き込んだ時の風合いが高く評価されることがありますface06ヴィンテージデニムなどは典型的な例でしょう。今ではユーズド加工と呼称してわざと穿き古した加工を施されています。何年も穿き込んで経年変化したデニムを美しいと感じるのであれば熟成であると私は考えています。
そこで
我々の日本経年変化協会ではエイジングの定義を長年愛着を持って製品を使用した際,経年変化により製品の風合いが熟成された美しいと思われる状態と定義したいと思います。

ブログ開始から何を小難しいことを言っているんだとのご指摘も頂きそうですが,曖昧な表現であるが故にきっちりと決めておきたいと思いました。今後
日本経年変化協会で用いる際は上記の意味で用いることをご了承よろしくお願いいたします。

【おさらい・まとめ】

経年変化の意味(日本経年変化協会認定)

製品を長年使用することによる製品の変化


エイジングの意味(日本経年変化協会認定)

長年愛着を持って製品を使用した際,経年変化により製品の風合いが熟成された美しいと思われる状態