こんにちは
。
日本経年変化協会です
。
本当に暑いですね
。先日
Specialiteスタッフに暴露されましたが、熱中症になってしまいました
。
皆様も水分補給と十分な睡眠をとって対策してくださいね。
さて、多数のお問合せを頂いておりますが、メールでのご返信などは人手不足の為、即日対応できないこともございますが
、必ずご返信させて頂きますので、数日の猶予を頂きたいと思います。
お問合せ頂くご要望で多いのが
「コードバンのアイテムをリリースして下さい。」
と言うご要望が多いですな。もちろんコードバン素材のアイテムもリリース予定です。
ということで、今回はコードバンについて改めて知ってみよう。と言うことでアシスタントスタッフを連れて日本で唯一コードバンの精製を行っている
有限会社新喜皮革さんの工場見学に行ってきましたぁ~
。夏休みっぽいでしょ~
。ってな事で工場見学の様子を踏まえながらコードバンについて説明していきます。
コードバンとは一言で言うとお馬さんの臀部です
当協会でもコードバンは仕入れております
。
独特の光沢と質感が魅力的で、希少価値も高いことから
『革の宝石』と言われています。
そもそもコードバンは何かと言うと一言で言うと
「馬の臀部」です。工場見学で説明がありますが、ここでポイントは
・北欧産の馬しかコードバンは存在しないこと。
・馬は食肉用の馬で、革目当てで屠殺されていないこと。
諸説ありますが、コードバンはそもそも北欧(ポーランド)などの森林に住む野生の馬が、背後から襲いかかる狼に対して爪が食い込まないように臀部が固くなった部分と言われており、日本の馬やサラブレッドには存在しません
。また革目当てで馬が殺されることはなく、ヨーロッパでは日本以上に馬肉は身近なもので食用の為飼育されています。
コードバン精製には非常に長い月日が必要であるため、今日ではアメリカの
ホーウィン社と日本の
新喜皮革と2社しか精製していないため、近年ではますます希少価値が高い素材となっています。
まずは塩漬けされた原皮を洗浄して毛を抜きさる作業から始めます
最初に工場見学で案内されたのはこちら。
木製の大きなドラム型洗濯機のような機材をタイコと呼んでいます。
皮革素材を入れてぐるぐる回して遠心力を利用して様々な加工に用いられます。最初、牛馬を屠殺する際に剥がされた血肉が付着した毛がボウボウの皮膚が発生します。これを
原皮(げんぴ)と呼びます。ナマモノで腐ってしまうので腐らないように塩漬けにされた状態で輸入されて来ます。塩漬けになったものをタイコで洗浄するのが最初の仕事です。
洗浄した原皮がこちら。毛がボウボウですので脱毛する作業が行われます。これは原皮と石灰を始めとした薬品をタイコに再び戻すと脱毛が出来ます。
タンナーとは何ぞや?そもそも鞣すとはなんぞや?
今回、工場見学で案内してくれました
新喜皮革さんのように皮革精製を行う業者を
『タンナー』と呼びます。
タンナーの役割は皮革精製と言う
鞣し(なめし)作業を行うことです。
ではそもそも
鞣し(なめし)とは何ぞや??工場見学では
「皮から革に精製すること。」
と説明されていました。
もう少し分かりやすく言うと
「皮を腐らないようにしたものが革で、腐らないようにする工程を鞣し」です
。腐らないようにする防腐剤が
・植物性のタンニン成分
・化学薬品のクロム成分
と大きく2つあり、どちらの防腐剤を使うかでタンニン鞣しやクロム鞣しに分けられます。各鞣しの特徴は次の通りと言えます。
コードバンはタンニン鞣しで精製される素材です。
コードバンは革であって革でない。固い部分だからピット鞣しで時間を掛けて鞣す
コードバンは馬の臀部ですが革ではありません。臀部の革の中に隠れている固い部分だけをコードバンと言います。
断面で見ると分かりやすいのですが、革の中に隠れている硬い部分で、革のように表裏が存在しない部分であります。
隠れている部分を革の表面と裏側と双方から削り出してコードバン層だけを取り除くと言う大変な手間と技術が求められます。
洗浄して、脱毛した馬の原皮を下半身だけを裁断して鞣し作業を行います。防腐剤には植物性のタンニン素材を採用します。
新喜皮革さんの所ではミモザつまりアカシアの花の成分を防腐剤として鞣し作業を行っています。タイコを使って遠心力でタンニン鞣しを行うことも可能ですが、写真のようなピットと呼ばれるプールに裁断した下半身の原皮を浸してじっくりと防腐剤を浸透させて行きます。
皮膚は牛馬を問わず人間も繊維です。コードバンは繊維の密度が高くなって硬くなった部分なのでタンニン剤が浸透しにくいのでじっくりと鞣すことが必要なので、ピットを使ってじっくり鞣していきます。1ヶ月も漬け込むそうです
。
原皮からコードバン精製までに約1年もかかる。凄い手間暇かかるんだなぁ~
1ヶ月かけて漬け込んで鞣し作業が完了。
タンニンを十分に吸い込んだ原皮はレザーとして精製されます。当然濡れているので乾かします。もちろん自然乾燥。
こんな感じで工場内で干してありました(笑)。
壮大な景色だぁ~
。3ヶ月も干すらしいですよ。何で3ヶ月も掛かるのか質問したところ、
新喜皮革さん創業からの経験則で3ヶ月干さないと良質なコードバンが精製できないそうです。
乾燥が終わったら各工程先に振り分けて行きます。もちろん手作業。
30度を越える猛暑の工場内で汗水たらして社員さん達が一生懸命働いて居られました。何かかっこ良く見えました
。
乾燥した馬の下半身の原皮がレザーとなったのがこちら。その形状からメガネと呼ばれるそうです。
同行したアシスタントスタッフと精製された下半身レザーの記念撮影
。大きいなぁ~。
アシスタントスタッフお返しの隠し撮り
。iPhoneで熱心に撮影しております私の図。こうやって客観的に見ると何となくシュールです。
マジか?鞣してから分かるコードバンの有無と大きさ
実は、北欧の原皮なら全てにコードバンがあるとは限りません。
ここまで鞣してコードバンが存在しなかったり、小さ過ぎたりしてコードバンが取れない事もしばしばあるそうで、神のみぞ知る領域だそうです。コードバンが取れない場合この下半身のレザーを馬ヌメバットとして販売しているそうです。
この針金はシャボン玉を作るものではありません
。
これはランドセルの本体のカバーと同じ大きさでランドセルのカバーに足りるだけコードバンがあるかどうか検討するものです。
兵庫県の播州地方は全国的に有名なランドセルメーカーの工場もあります。コードバンのランドセル今思うと置いておけば良かった
。
コードバンを削りだしたら磨き作業だい
コードバンは削りだしたものなので、削りだした段階ではヌバックやスウェードのような状態。
ここからピカピカに磨きあげる作業をグレージングと呼びます。
どうやって磨くのか?
もちろん手作業。
磨きに使うのは牛乳瓶サイズのガラスの塊。重たい。
持たせて頂いたけど、落としそうになって焦りました
。
興奮する私を再び隠し撮りするアシスタントスタッフ。
社員の方々も興奮する私に優しく説明して頂きました。
こんな感じにガラスを取り付けて磨いていきます。
手作業ですよ。
手作業。
全てが職人技。
一枚5分ぐらいで一日120枚程度磨き作業するそうです。
大変過ぎる。
ここから顔料で着色して私達が知っているコードバンになるそうです。
工場見学をさせて頂きました
新喜皮革さん毎年ありがとうございます。
編集後記
他にもタイミングがよくて貴重な製作を発見しました。
社員さんでもあまり見かけないと言われる兵庫県姫路市の伝統的な白なめしのレザー。
写真撮ってもいいよと言われたのですかさずパパラッチ
。
リアルマッコイズさんのBUCOに使われる茶芯レザー。
今回、私も同じモノを少し購入させて頂いたので、次回プロデュース作品に使いたいと思ってますのでお楽しみに。
工場見学イベントに色んなブースが出展しており、足つぼマッサージがあり施術させて頂きました。
「会長が痛がってる(笑)。」
と撮影を繰り返すアシスタントスタッフ。
どこが悪いのか説明されている図。
ちなみに私が悪いのは股関節だそうです。
股関節を労って下さい。ってどうやって股関節をいたわるんですか???
楽しい夏休みを皆様お過ごし下さい。