こんばんは
。
最近、スタッフに叱られてばかり
。
私は個人的な遊びでジギング(鉛のジグと言われるルアーで遊漁船からハマチとかの青物とかタチウオとか釣る釣り)が大好きで兵庫県は神戸のお隣の明石の海では最盛期で、漁師かと言われるぐらい沖に出る始末
。釣れないと次回こそはリベンジ!!ってなるし、釣れたら釣れたらで「もう一回(大塚愛風)」となるので、非常に中毒性のある遊びです(笑)。ヘラヘラしてると
「フラフラ出歩かないで、ちゃんと仕事して下さい
」
「何、やることやらないでリアル釣りバカ日誌してるんですか
?」
ガチで叱られて、メッチャ怖い
。こんな頼りない私をサポートしてくれる職人さんやスタッフには感謝ですm(_ _)m。
お客様からメンテナンス依頼とか頂いて、スタッフからブログのテーマをもらって、ブログを書くように指示されたものの・・・。
今日は土曜日。
土曜、日曜、祝日は浮かれてしまいますよね
。筆が進まない(笑)。
こんな時は、何か物欲を満たそう。欲しいブーツがあったので、久しぶりにブーツを購入してテンションをあげよう
。
取扱い店舗をググってみると3つとなりの区に取扱いショップさんがあるじゃありませんか?
車飛ばして意気揚々と下さいなと言ってみたものの
しょんぼりです(笑)。
テンションを上げるどころか、テンションダダ下がりです
しか~し捨てる神あれば拾う神あり
。今日は私の宝物が一つ増えましたので、そのお話を。
ニットの世界も奥が深いし、知ればしるほどワクワクするもんなんですよ♪
デニム、レザー、カットソーと経年変化愛好家が愛するアイテムは様々ですが、私個人的にはニットも大好きです。
セーターとかカーディガンとか。今から寒くなるこの時期はレザーだけでなく、ニットも多様します。レザーもニットもデニムもそうですが、もう、昔の人達が知恵を絞って創意工夫を凝らしてきたアイテムです。そんな私に数日前、長年お世話になっているお店のママさんからメッセージを頂きました。
ふぁ?
メッチャ大好物なんですけど??ほ、欲しいです・・・。すると、本日お店に持ってきておいたからまたお店に寄ってね。メッセージを頂き、飛んで行きました(早っ
)。それがこちら。
ハンドメイドニット特有のこの重厚感が堪りません・・・
。
「オイルセーター知らない人も多いし、匂いやチクチクするのが嫌って人が多いし、オイルセーターを知ってる人に貰ってほしかった。」
とママさん。
最近、アクリル混合ウールのニットが横行して、確かにオイルセーターを見かけなくなった。ってかオイルセーター知らない人が多いと言う現実にビックリ
。なんで、今日はオイルニットの熱いストーリーを知って頂きたいと思います。
そもそも『オイルセーター』とは?
オイルセーターとは厳密にはオイルドセーターといいます。
脱脂されていない脂分を残した毛糸で編まれたセーターです。
セーターだけでなく、カーディガンなども存在し、全部ひっくるめてオイルドニットと呼んでいます。
脂分が残った毛糸で編まれたニットは防水性が高く、古く昔からアイルランド地方やスコットランド地方の漁師が愛用した事より、「フィッシャーマンズニット」とも呼ばれています。アラン諸島周辺の漁師から産まれたことより、「アランセーター」と呼ばれてたりもしています。
脂分を含んだニットは今日のアクリルウールより遥かに重たくて、脂分特有の匂いがあり、敬遠する人がいるのも現実かと・・・。
クリーニングは手洗いで特殊な洗い方が必要なので、知らない人がクリーニング屋さんに出しちゃうと脂分が抜けて単なるセーターになってしまうのも事実です(笑)。
ママさんが言うには30年ほど昔に購入してデッドストックしていた大切な一着と言うこと。30年っても~ヴィンテージです
タグを見るとスコットランドのニットの老舗。
INVERALLAN(インバーアラン)です。
現在でも完全ハンドメイドで製作されている高品質ニットです。
取扱い店舗の多くが「アランニットの代表的ブランド」と謳っており、ご存知の方やお目にした事のある方も多いかもしれませんが、この謳い文句にニット愛好家の中には
「INVERALLANはアランニットの類似品でアランニットじゃない!!」
じゃないと言うご指摘も受けそうなので、
日本経年変化協会を運営している立場としてちょっとマニアックなお話させて下さい。
アランニットの機能性・魅力が多くの人に普及したもの
オイルドニットの起源はアイルランド島の西方に浮かぶ島々のアラン諸島が起源であり、スコットランドで製作されているものは厳密にはアランニットとは言わないと言う意見があります。だから
INVERALLAN(インバーアラン)はアランニットでは無いと言う言い分。
原産国に限定すれば、そりゃそうなんでしょうが、アランニットの歴史を探れば奥が深いんですよね。
アランニットの起源は6世紀と言われています。今から14世紀も昔
。1,400年前?日本で言うと飛鳥時代で推古天皇とか聖徳太子とかの時代です。布を巻いて居た時代に遠くはなれたアイルランド地方でニットが生まれていると言うんだからビックリです
。
そんな大昔にアラン諸島の漁師の奥様方が豊漁と安全を祈ってセーターを編み、漁師である主人に着せて、母から娘へ編み方を伝授していたと言われています。編み方も漁師の家々によって異なり、その家独自の編み方や模様が施されていたそうで、今と異なり海に出るのは命がけで、ちょっとした天候不順で沈没することも多く、溺死体が流された時にその着用しているセーターから
「◯◯さんのご主人だ!!」
と分かったそうです。
そんな熱いストーリーがあるアランニットですが、実際にアラン諸島で編まれたニットブランドは編み手の裁量にまかせて製作しているため、同じブランドでも編み手によって模様やサイズが異なるそうです。例えばサイズ40でも編み手によって大きかったり、小さかったりが存在するらしいです
。
当時としては防水性と防寒性を兼ね備えたアランニットの機能性は多くの人の共感を呼び、アラン諸島から周辺に受け入れられ、ご近所のスコットランドの漁師たちも愛用し、さらには一般にまで受け入れられる事により需要と供給が膨れサイズ統一がなされたブランドが登場し、それが
INVERALLAN(インバーアラン)のようなブランドが産まれたのだと思います。
私個人的には「アランニット」はデファクト・スタンダード(事実と異なるが多くの人が認識している事柄)であり、「オイルドニット」、「フィッシャーマンズニット」であることには間違いが無いと思います。
う~ん。マニアックな展開・・・
。
実際に現行の
INVERALLAN(インバーアラン)はお洒落好き、ニット愛好家ならご存知のブランドではあり、ダイヤモンドやトリニティステッチと言われるロープ上の編み編みしたデザインが多いですが、今回ママさんが大切に保管されていたのは30年代モノ・・・。
ボディー周りに一切の飾りが存在しないシンプルな編み込みセーター。
現行でも無地のモデルもありますが、圧倒的に人気があるのは模様が施されたモデルですが、お洒落着を意識せず、フィッシャーマンズニットとしての機能性重視だった老舗の意地なのか・・・。想像するとイメージがどんどん膨らみ興奮してきます
。また30年経った今でもデッドストックと言うこともあり、現行よりも脂分が強いよ~にも思え多くの人が敬遠する脂分の匂いにも私はそそります(も~変態なのか
)。
襟元は二重編みが基本ですが、オイルドニットで編み込むと首元がメッチャしっかりしている。
袖の縫製なのは今も昔も変わらず。
質実剛健なニットパターンが着用意欲をそそる。
リブも美しい・・・。
オイルドニットの魅力はアクリルウールにはないこの重厚感が最大の魅力だと思う。
INVERALLAN(インバーアラン)と同じく、オイルドニットのハンドメイドブランドAthena Design(アテナデザイン)も僕は大好きで愛用していますが、タグがある場合ニッター(編み手)のサインがあります。ニッター(編み手)はブランドから支給されたパターンとニットを自宅で製作して納品するシステムと取っているそうで、日本で言うと内職です。編みの技術によってレベル分けがされているらしく、皆技術の向上を日々行い誇りを持っていると言うから素晴らしい。
30年も昔にスコットランドのどこかの家庭で女性がこのニットを編み込み、はるばる海を超えて日本にやってきて、30年間大切に保管されて、当時子供だった僕が成長して何かの縁でママさんと知り合い、そして本日、私の手元にやってきた。
そう、思うと興奮するぅ~。
この世の中にあるモノには全て、企画があって製作されている。私はほとんど買わないけど、
UNIQLOのようなファーストファッションの商品アイテムだって、一つ一つに商品企画する人が色んなマーケティングして値段を抑えるために多くの人が知恵を絞って、それを一生懸命どこかのアジア諸国の縫製工場で現地の人達が縫製しています。
だからこそ、どんなモノでも大切に扱わないと駄目だと私は思います。
自分が愛着を持ってモノは大切にメンテしてヘビロテで長く使いたい。長く使えるものは品質が求められるのですけどね。ファストファッションでDesignが気に入って購入することもありますが、ワンシーズンでダメになっちゃうと悲しくなりますから、良いモノを長く使い続けるのが私のモットーであり、長く使うと経年変化と言う概念が生まれてきます。
今回頂いたニットも30年経ってスタートです。大切に愛用して行きますよ。
ママさんありがと~。メッチャ大切にします!!