こんばんは
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国民3大休暇の一つお盆です
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皆様如何お過ごしでしょうか??職人さんもスタッフも帰省しちゃって独りぼっちです
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まぁ~私は、生まれも育ちも神戸なので帰省ってもんがないので、お墓参りしてゆっくり過ごすのが例年のお盆です。
事故や事件に巻き込まれないように楽しい休日を過ごしてくださいね。
今回は独りぼっちの私が自分の経年変化サンプルをご紹介致します(笑)。
オリジナルのレザーと自分の企画したアイテムの経年変化が見たくて仕方ないので、毎日愛用するのが楽しくてワクワクしながら日々過ごしております。今回ご紹介するのはこちら。
栃木レザーに負けない経年変化を見せてくれたオリジナルレザーの『Pate』
画像左が新品。画像右が私の愛用約半年
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ちなみにノーメンテナンスです(笑)。
キーケース 『Fixation』価格:9,000円(税別)
ブランド:Entree(アントレ)
素材:牛革 or 馬革
カラー:グリーン、バーガンディー、レッド、ブラック(パラフィン)
企画:日本経年変化協会
製作:椎名賢
これ外装パーツのレザーが色んなタンナーさんのレザーを採用しているのが面白いトコロですが、私はグリーンの
栃木レザーモデルを愛用しております
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『Pate』は脱クロム製法と言う鞣し技法で一度クロムで鞣した後クロムを抜き取って再度タンニン鞣しを行う技法で、近年急速に普及しつつある鞣し技法です。『Pate』はとりわけ、クロムを多くの割合で抜き取りタンニン鞣しを施し仕上げは染色とオイルだけと溶剤を一切用いずに仕上げたのが大きな特徴です。想定される経年変化は通常のヌメ革と同じく、色濃く艶が出るものと思われますが、百聞は一見にしかずで実際に使ってみたいのです(笑)。
内装を見てみましょう。
バッチリ経年変化してます。想定通りの
半年でバッチリ飴色に変化してきましたよ~。細かく見てみましょう。
『経年変化する革』ってのはある程度のタンニンと最終的には仕上げなんですな
ええがなぁ~(自画自賛
)。
ここ数年播州エリアのタンナーさんと親交を深めて色々レザーのお勉強をしてきました。
革らしい経年変化にはある程度のタンニンの量とレザーの仕上げが重要なんですな
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以前、
姫路レザー有限会社とコラボして
アルコタンニンレザーと言うレザーを企画しました。これも脱クロム製法なんですが良いレザーに仕上がったのですが、ど~してもヌメ革と比較すると経年変化が控えめと言うのが実感でした。
『Pate』は革小物にしてもヌメ革と遜色ないスピードで経年変化しました。これは事実物理的な理由としては溶剤(化学薬品)を用いるか用いないか、よ~するに仕上げの問題なんですね。 私はフルタンニン鞣しのヌメ革と遜色ない素材を求めていたので、試行錯誤で時間をかけまくって協力してくれるメンバーと共に理想とするオリジナルレザーを企画したんです。
ヌメ革は空気に触れることで日焼けをしますが、
『Pate』も日焼けしちゃいます。なので、日光に当たらないように保管しなければなりません。
スプリングホックボタンのアタリまで出ています
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自宅の鍵で使ってるので、毎日開閉を繰り返しますからね。
そしてキーフックもこだわって別注です。
耐久性を考えてキーフックは鉄製のものしか存在しないと言うことが分かって、商社さんに無理なお願いを叶えて頂きました
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無垢の真鍮をメッキすると言うBZメッキを施しました。ブラス製と同じく、鈍く経年変化してきました。
ちなみに新品はこんな感じで白っぽく金ピカ
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半年経ってめっちゃ経年変化する事が分かりました。
ブランドロゴもばっちり崩れることもなく、健在(笑)。
溶剤のあるレザーでは刻印が消えてくるんですが・・・(笑)。
ここでは深くは触れません(笑)
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Entreeブランドは、上質な革素材とハンドメイドの魅力を感じて頂く入門ブランドの役割を要するため、時間と手間はある程度省略するため、革テープの縫製(コレも難しい技術だけどね)を採用しています。ヌメ革だと、擦り切れやすいのですが全然ダメージ無し。これはレザーの芯にクロムが残っているところが耐久性がヌメ革よりあると思われます。
多くのアトリエや工房の職人の方々に
とお言葉を頂戴しておりましたが、やはり革はアイテムにして使い込んでからが品質の見せ所なんで、自分でメッチャ使い込んでみました。
ちなみに、冬場はジャケットのポケットに入れることもありましたが、基本ポケットには入れてません。
革小物は圧力かかると変形しやすいですからね。
だいたい、鞄のポケットが定位置でございます(笑)。
オマケ
~オリジナルで脱クロム製法に拘る理由~
時折ですが、
「何故脱クロム製法なんですか?クロムを抜いてタンニンを入れるなら最初からヌメ革で良いのでは??」
とご質問を頂きます。
うむ。ごもっともなご意見です。
理由としては現在、市場に流通しているレザーの9割以上がクロム鞣しと言われており、タンニン鞣しのレザーはごく少量なんですよね。
このような背景の理由として
①タンニン鞣しは時間がかかる(大量生産に不向き)
②経年変化の概念は実はマニアック
って事があります。
多くのタンナーの方々と交流を深めてきてもタンナーさんの多くが
「会長さんよ~。本当にこの仕上~げで良いの?革が焼けて変色しちゃうよ??」
と言われます(笑)。
これは革製品を扱うメーカーやブランドの多くができるだけ新品の状態を保ちたいと言うモノづくりをしているからだと思います。
VUITTONの鞄で確かに経年変化なんて言う概念はありませんからね(笑)。メーカーやブランドの多くもお客様のクレームが怖い。溶剤を使ってしまうのはこのためなんですよね。洋服なんかの色移りとかね。革靴穿いて靴下の色変わってしまった経験とかないですか?
革製品の愛好家の方々は知識ありますが、一般の方はそ~でない事が多いので(笑)。
話を本題に戻すと、フルタンニン鞣しのレザーは当然流通量が少ないので高価です。勿論レザー精製に時間がかかるので、製作費用も高い。塩漬けの原皮を仕入れても冷蔵機能がある倉庫が必要なので設備費もかかる。鞣す前に洗浄するので時間と大量の水を使うので、水道代金も莫大にかかる。そして脱毛するには石灰とまたもや大量の水が必要。脱毛したらまた洗浄するので大量の水が必要。そして鞣すにも大量の水が必要と経費が半端無くかかるレザーなんです。
そして近年原皮そのものの価格が値上がり中
。(理由は色々あるよ~ですが)。
原材料が値上がれば商品の値上げも余儀なくされる訳で多くの革製品を製作するメーカーさんも頭を悩ませているようです。
脱クロムの良いところは塩漬けの原皮でなく、北米のタンナーがクロム鞣し行った状態、所謂ウエットブルーで輸入することができます。
一度クロム鞣ししてるので、冷蔵装置の設備も入らないし鞣し工程の前の工程までの時間と大量の水が必要ありません
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動物の皮膚(Skin)を腐らないようにした状態が革(Leather)であり、タンニンやクロムと言うのは防腐剤です。
クロム鞣しの状態でクロムと言う防腐剤を抜き取ってタンニンと言う防腐剤に入れ替える。これが脱クロム製法なんです。
あとは昔ながらの仕上げを行うことで、クロムの丈夫さを残しつつタンニン鞣しの革らしい風合いをそのままに表現できて、精製費用を抑える事ができると言うのがメリットだと私は思います。
革らしい革を好む愛好家の方々は私も含めてマニアックなんですよ(皆さん自覚しようw)。
話が長くなってしまうので別の機会にお話できればと思いますが、タンニン鞣しの革は実は万能ではなく、作りたいモノによって向き不向きが出てきます。なので、私も企画する時にフルタンで行く場合とそ~でない場合で素材選定を行います。
今回オリジナルレザーはヌメ革に遜色ない経年変化で大満足しました
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あ、いつもスタッフに宣伝しないと叱られているので・・・
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完売したり、在庫僅かなお色もあるそ~で。
オーソドックスなキーケースなんで、飽きずに気負わずに、使い込んで育てて欲しいです。だって私はノーメンテ(笑)。