こんにちは
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日本経年変化協会です
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今年も後一ヶ月ちょいですねぇ~。来月は師走ですよ。師走。師匠が走るぐらい忙しいってことで、会長の私は手をパーにして走り回ってます。ここ最近、ブログを更新出来ずに申し訳ありません
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ここ最近また商品企画や素材開発に熱中しておりました
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姫路レザー有限会社が設立~姫路と日本経年変化協会の出会い~
実はですね。2013年10月1日に新しい会社が設立されました。
姫路レザー有限会社です
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兵庫県姫路市は平安時代から皮革産業が盛んな地域として知られています。数十社のタンナーが今日もひしめき合っています。
日本の皮革産業は高度経済成長期、バブルの時代に大きな変革が有りました。
それは従来のタンニン鞣しからクロム鞣し中心の皮革への変革です。姫路にもピット槽と呼ばれる大きなプールが街中にありましたが、クロム鞣しが中心となり、埋められてしまいました。
”作れば売れる。質より量”
が求められた時代であり、姫路だけでなく全国的な変革であり、日本国内からフルタンニン鞣しが激減しました
。
クロム鞣し自体を否定するつもりはありませんが、日本の皮革のクオリティーは低下したと思います。
昨年、
R-18プロジェクトを開始した時、オリジナルの真っ赤なレザーを求めて私は姫路を訪れました。
残念ながら、満足できる皮革ができず、
イタリアのタンナーさんと
栃木レザーに別注する形になりました
。
しか~し、姫路にも熱い漢達がいました
。
「俺達が栃木レザーや海外に負けてるってか?舐めるんじゃねぇ~。会長が満足できるまで作ってやんよ!!」
ってな感じ何でしょう。
姫路のベテランの職人達やタンナーが一岩となって世界最高のレザーを作り上げるため、
姫路レザー有限会社と言う企業を立ちあげられたんです。
んで、レザー開発や商品のプロデュースを私が担当させて頂くことになりました。
多分、世界狙える皮革だと私は思います。
脱クロム製法。その名もアルコ・タンニン・レザー
姫路レザー有限会社が創り出すレザーは私も参画させて頂いておりますが、普通のレザーではございません
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少し専門的な話になりますが、少々お付き合い頂ければと思います
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レザーは元々は動物の皮膚なので、腐らないように加工することを鞣す(なめす)と言います。
防腐剤のようなものを加えるのですが、防腐剤がタンニンと呼ばれる植物性の薬剤か、クロムと呼ばれる化学薬品かによって
タンニン鞣しとか
クロム鞣しと手法に別れます
。
皮革従来の良さを要するに変色とか皺が好まれるのが
タンニン鞣しです。
栃木レザーに代表されるような一般的に言われるヌメ革ってやつです。革らしいですけど、重たいしメンテナンスしないと劣化してしまいます。
一般的に流通しているレザーの9割前後が
クロム鞣しです。変色などが起こりにくく、化学薬品特有の結合で軽くて丈夫なレザーができあがります。
それぞれ一長一短があるので、いいとこ取りしようとしたものが
コンビネーション鞣しと呼ばれる手法です
。これは
クロム鞣しした皮革にもう一度
タンニン鞣しを施す手法です。Red Wingのブーツの素材とかクロムエクセルなどがその代表的なレザーですね。けど、タンニンが入ってると言ってもベースがクロムのレザーなので、クロムの特性が強いです。タンニンの特性が強いほど革らしさがだせますからね。
クロムをある程度抜いてしまおうと言うのが
脱クロム製法でございます
。
脱クロム製法はとりわけ新しい製法ではなく、日本のタンナーさんはこれまでに取り組んでこられた経緯があります。しかし、一旦
クロム鞣ししたクロムを抜くのは至難の技・・・。現状の
脱クロム製法は既存の
コンビネーション鞣しと何ら変わりがないのが現実です。また、
脱クロム製法は製品の品質を固定するのが大変難しいと言った課題もあります。ドラムの内部温度や水流によってクロムの抜け方が変わるといったことが理由です。
このたび
姫路レザー有限会社はその課題を解決することに成功。
クロムを希望通りに自由に抜き取り、タンニンの割合を自由に調整することに成功。タンニンの割合で七色にレザーの仕上げを調整できることから、
アルコ・タンニン・レザーと私が命名させて頂き、商標登録を行うことになりました
。アルコはイタリア語で言う虹をもじったものです(笑)。
日本で唯一の装置を完備する森本尚製革所
姫路のタンナーの一つ、
森本尚製革所。こちらの専務でいらっしゃる森本憲二さんは勉強熱心な方で皮革の品質向上に取り組む
脱クロム製法の第一人者とも言えます。
こちらのドラムが
脱クロム製法を行うイタリア製のドラムです。
コンピュータ制御され、タンク内の温度を一定に保ち、水流も一定に管理され、品質の統一を行うことを可能にしました。
この装置非常に高価なもので、日本に1台かもしれません。クロムも自由に抜き取ることができます。
ベースはこちら、
クロム鞣しを行った通称ウエット・ブルーと呼ばれるものです。一度鞣した鞣し剤であるクロムを用途に応じて抜き取りタンニン剤を加えます。
姫路の皮革産業で何十年とご活躍されている染色と薬品のスペシャリスト澤商店の代表取締役、小寺澤輝良さん(通称:サワさん)。
私の希望のレザーを実現できるように仕上げのアドバイスを行ってくれます。この日は新聞社の取材がありました。
サワさんはムードメーカー的な役割を担ってくれています(笑)。ご本人は気付かれておりませんが、天然さんでございます(笑)。
クロムを抜き取りタンニンで鞣したレザー。
こちらはクロムを2割りだけ残して8割りをタンニン鞣ししたものです。
コバもバチバチに整います。
ほぼタンニンなので、ヌメ革といっても過言ありません。しかしクロムの成分が少し残っているので、通常のヌメ革よりも丈夫であるなどクロムのメリットがあります。職人さんでもサンプルみて
「いいヌメ革ですねぇ~。」
と言われます。いえいえ
。これクロム入っているんですよ。と伝えると嘘???みたいなリアクション。
アルコ・タンニン・レザー。凄い素材開発に成功です。
ちょいと凄いですよ。
日本のモノ造り。根底から変えてやって世界にmade in Japanの底力を魅せつけてやろうと思います。