こんにちは

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日本経年変化協会です

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もうすぐお盆休みですなぁ~。嬉しいような嬉しくないような。
色々やるべきことが山積みですが、世間がお休みになるから僕も休むと言いつつワクワクしてます

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ま、取り分け特別な予定は何もないのですが

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先日、
大上鞄店の大上悠介専務と打合せしていて、
コードバンの話になったけれども、な~んか
コードバンって馬のお尻の革ぐらいの認識しかされていない。こりゃぁ~いかん。専務には正しい知識が必要だ。ってことで世界で2社しか存在していない
コードバン精製タンナー
新喜皮革さんの工場見学に専務と二人で行って来ました

。昨年も見学したけど、モノ造りの現場は何度見ても新たな発見やアイディアに繋がります。
ダラダラとなってしまいそうですが、レザーにあまり詳しく無い方にも分かるようにコードバンについて説明させて頂きます。
革の宝石と言われる最高級皮革素材『コードバン』
コードバンはざっくり言ってしまうと馬革です

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もう少し具体的に言うと馬の臀部(オ・シ・リ

)の革です。
普通の革は「床」と呼ばれるベースの上に「銀面」と呼ばれる表革が張付いている2層構造なのに対し、コードバンは「床」であるコードバン層のみを使用する単層構造です

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ざっくり言っちゃうと、革の表と裏の間にカチカチの固い層があって、それが
コードバン
です。なので、お尻の革を少しづつ削ってコードバンを見つけ出すって作業が必須になってきます。宝石の採掘作業に似ていることから、
コードバンは『革の宝石』とも呼ばれています。
削り出し作業は熟練した職人さんでないとできません。削り過ぎて
コードバンに傷をつけてしまうとそれだけで、売り物にはならないので大変です

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ちなみに
コードバンを精製しているタンナーさんは全世界で2社しかありません。70年代まではヨーロッパでも
コードバンは精製されていましたが、70年代に消滅してしまい、現在はアメリカシカゴの
ホーウィング社と日本の兵庫県姫路市にある
新喜皮革の2社のみです。
コードバンって稀少なレアモノなんですな
世界に2社しか精製できる会社がない大きな理由は二つ
①コードバン精製には6ヶ月の歳月が必要
②コードバンが非常に稀少なレアな部位
であることが挙げられます

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①コードバン精製には6ヶ月の歳月が必要
材料を仕入れて鞣しで精製して販売できるまでに6ヶ月の歳月を要してしまうと、材料を購入してからお金に買える段階までに行くのに6ヶ月間お金を立替続けれればならないと言うのはビジネスモデルとしては非常に非効率なので、
コードバン一本で会社として運営していくのは大変であり、資金を投下して新規参入する魅力がないってことですね

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②コードバンが非常に稀少なレアな部位
コードバンは馬の臀部にある部位ですが、馬ならどんな馬にもあるってわけではありません

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サラブレッドやポニーにはありません

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ヨーロッパ地方で食肉用としてごく少数生産されている農耕馬からのみ副産物として採ることができものです。
理由は
コードバンは人間で言う尾骶骨みたいな種の進化の名残だからです。
野生の馬が大昔、肉食獣に襲われるのはオオカミです。ヨーロッパには沢山のオオカミが生息していて野生の馬はオオカミから襲われる危険性がありました。馬の背後から飛びかかられてお尻に噛み付いたり爪を立てられたりするため、お尻の革に固いコラーゲン層である
コードバンが発達したと言われています。サラブレッドやポニーは人間が品種改良して競走馬にしたり小型化した馬であるため、
コードバンが存在しません。野生馬が野生の大型肉食獣に襲われるステージはヨーロッパ(とりわけ北欧エリア)であるため、北欧の品種改良がなされていない農耕馬には尾骶骨のように名残である
コードバンが存在しています。
ちなみにアフリカのサバンナに生息するシマウマ

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オオカミだけでなく、ライオンやハイエナと言った肉食獣がいっぱいいて、現在でも日々弱肉強食の脅威にさらされています。
しかも360度襲われると言うサバイバルぶり

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なので、シマウマに関しては全身にコードバン層が存在していると言われています

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工場見学で改めて素材造りに情熱注ぐモノ造りを体感
新喜皮革さんの工場見学で最初に目に飛び込んできた風景。

案内してくれたスタッフさんから
「匂いがキツイので、気分が悪い方は外へ」
と案内がありました。
床においてあるのが馬革の原皮

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つまり馬の肉から皮を剥がした状態ですね。毛もボーボーですし、血肉がついています

。塩漬けにしてヨーロッパから輸入されて工場に運ばれてきた状態です。動物の死体の匂いですね。匂いますけど、これが天然素材である皮革の原点です。
写真左がドラムと呼ばれる装置です。簡単に言うとデカイ洗濯機です。
ドラムに原皮と薬品を入れて、塩漬けの塩や血肉を洗い流し、毛を脱毛します。
洗ってから1ヶ月ぐらい冷蔵庫で保存したり再ど塩につけたりするそうです。
その後
コードバンがある下半身を切り取ってからいよいよ鞣し作業です。
鞣し(なめし)とは皮(Skin)から革(Leather)に精製すること。つまり皮は腐るけど腐らないように加工して革にすることを言います。

下半身はフルタンニン鞣しと言う方法で鞣されますが、さらにピット製法を言う製法でピット槽と呼ばれる写真のようなプールに漬け込む方法が採用されています。鞣し剤(防腐剤)には天然植物素材のミモザ(アカシア)が用いられています。鞣し剤の濃度の異なるプールに順番に漬け込む鞣し作業は2~3ヶ月要します。
そうそう、下半身を切り取った革の上半身はどないなってるの?
って疑問に思いますが、上半身は通常の馬革(ホースハイド)として従来の革として扱われています。
新喜皮革さんではこのような感じで馬革を活かしています。
上半身→フルタンニン鞣し(ドラム製法)
上半身→クロム鞣し
下半身→コードバン精製・フルタンニン鞣し(ピット製法)

ピット鞣しは非常に場所と、時間がかかるので、先ほどのドラムに鞣し剤と原皮を入れてドラムを回して遠心力で人工的に鞣すのがドラム鞣しで、鞣し剤がタンニンであればタンニン鞣し、化学薬品であればクロム鞣しと言われています。
これはドラム製法の場所で上半身を舐めしているところです。

上の写真は下半身を鞣して乾燥させている様子。
革をぶら下げるフックの方向も職人がこの後の工程を考えて手作業で作業しています。

小さく見えるけど、ホントはデカイ。
大上専務も大柄ですが、それでも大きな皮革です。
ここから脂入れたり、削り出しを行ったり、色々職人の加工技術がありますが、そこは企業秘密で見せてくれなかった(笑)。
で削りだした
コードバン。何もしないとあの独特の艶はありません。
ここで必要なのが
グレージング
と呼ばれる重要な加工工程があります。
ガラスで表面を磨く作業です。
絶妙な力加減で革を動かしていかないと、革が焦げてしまうので、修行が必要です

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画像じゃ醜いので、動画もね。
この季節暑いのですが、工場内はサウナです。
職人さん凄く大変ですね

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軽くこなしているように見えますが、1枚1枚が貴重なコードバンでその仕上げですから、集中力は凄いです。

左がグレージング前、右がグレージング後です。
表面が研磨された方が生成りの状態でもツルツルです。
どうでしょ?
取れる部位が希少な上にこの手間暇。
最高級素材ってのもうなずけますね。
ちなみにコードバンの特徴とは?
整然と並んだキメの細かな繊維がむき出しとなった状態であるため、非常になめらかでしっとりとした質感が特徴です。
2層構造で出来ている一般的な革は、手入れを怠れば長期間使用するにしたがってだんだんと表皮である銀面が歪んできます。そのため、床と銀面の間に隙間が生じ、「浮き」と呼ばれる現象が起きる事もあります。
コードバンは単層構造のため、「浮き」の現象が起きません。
なので、艶出しクリーム程度のメンテで十分なのが
コードバンの特徴です。
なので、耐久性が求められるランドセルに昔は使われていたのでしょう。
ちなみに、今回工場見学だけでなくて、ちゃんと商談も兼ねてます。
新喜皮革さんの馬革使ったプロダクツ造るもーん。
お楽しみに!!