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ハイブリッド(脱クロム)レザーの経年変化 (2023年01月26日)

こんにちはkabinkusa

まぁレザーの経年変化はアメカジ愛好家にとっては魅力的な要素の一つで私も個人的に色々研究してきました。
今回はハイブリッド鞣しの中でも私も数年注目して携わってきた脱クロム製法の皮革の経年変化をご紹介したいと思います。


まずはおさらい~鞣し(なめし)とは?~
レザーと言っても牛革、馬革、オーストリッチ(ダチョウ)、クロコ、パイソンと色んな種類のレザーがありますが、共通して言えるのは元は動物の皮膚(Skin)と言うことface06。皮膚(Skin)だと腐ってしまうので、加工して革(Leather)します。腐らないように加工して素材に仕立てることを鞣し(なめし)と言います。

鞣し(なめし)は大きく分けて2つに分類できます。

①タンニン鞣し
②クロム鞣し

ですね。


タンニン鞣しとは!?メリットとデメリット
タンニン鞣しとは植物性の鞣し剤を使って鞣す昔からある手法です。一般的に言われるヌメ革です。
アメカジ大好き愛好家はタンニン鞣しを好む方が多いです。
現実的には市場に流通している革素材としては1割前後で今日ではマイナーな部類でヌメ革愛好家はやはり拘りの強いマニアックだと思います。ここでメリットとデメリットを紹介します。

【タンニン鞣しのメリット】
・革らしい昔ながらの革と風合い。
・使い込むと変色を伴うダイナミックなエイジングを楽しめる
・切り目本磨きなど職人技を随所に活かせることができる。

正直タンニン鞣しは素材としてクロム鞣しと比べるとデメリットが目立ちますicon11

【タンニン鞣しのデメリット】
・精製時間がかかる
・精製量と時間がかかるため価格が高い
・精製されたレザーの重量が重たい
・耐久性がクロムレザーよりも劣る。

タンニン鞣しは場所と時間がかかり生産量が少ないためクロムレザーに比べると価格が高いです。コードバンなんかはその最たる例ですね。一度革を発注すると出来上がるのが数カ月後とかざらにあります。ヌメは重量あります。財布などの革小物では支障ないですが、鞄や革ジャンと大きな革製品になるとすごく重量が重たくなりますicon11


クロム鞣しとは?メリットとデメリット
クロム鞣しは戦後に出来た鞣しの手法で鞣し剤に化学薬品を使う製法です。市場流通にしている皮革としてはほぼクロムレザーと言えますface06。それは素材として見た時にメリットが多いからですね。

【クロム鞣しのメリット】
・短時間で鞣しができる
・大量生産が可能
・薄くて丈夫に仕上がるので幅広い用途に使える
・ヌメに比べると価格が安い
・ヌメと比べて重量が軽い。
・ヌメと比べて耐久性が高い
比較的短い時間で精製が出来て大量生産もできるのでモノづくりの現場では素材調達のスケジュールもしやすく、薄くて軽くて丈夫と言うことで服飾雑貨だけでなく、車の革シートやハンドルなど幅広い分野で使われています。
実際、革ジャンの老舗ブランドであるラングリッツレザーはライダーを守るギアとしてジャケットを製作しているため、耐久性重視でいち早くクロムレザーで革ジャンを製作しました。
Schottエアロレザーなど大手ブランドは今日ではクロムレザーを自社の商品素材にしています。

【クロム鞣しのデメリット】
・ヌメと比較すると革らしい風合いが足りない。
・コバ処理で切り目本磨きができない。
あえて言うならこんな感じです。

ダイナミックな革らしいエイジングを求める事自体が趣向性であると思われます。

いいとこ取りをしようとしたハイブリッド鞣し
鞣しを行うタンナーさんも色々考えるわけです。
タンニン鞣しのメリットとクロム鞣しのメリットを活かしたレザーを精製しようと。
それがハイブリッド鞣しの始まりでした。
私も姫路の方々にお世話になり試行錯誤しましたよ。簡単にまとめるとこんなフローチャートです。

ハイブリッド鞣しの軌跡
①クロム鞣ししてからタンニン鞣ししてみよ~。
植物由来のタンニン成分より化学薬品のクロムの方が強いので、最初にクロム鞣ししてからタンニンでもう一回鞣す。
結果・・・。
普通のクロムレザーより革っぽさは出たけどヌメには及ばない・・・。

②クロム鞣ししてクロム成分抜いてからタンニン鞣し
分子レベルの話ですが、革からクロム成分を抜いてタンニン鞣しを行えばより革の風合いを出せるのでは?と言う発想。
どれぐらいクロムを抜けば良いのか???
これが難しい。試行錯誤で実践あるのみ・・・。

姫路のタンナーさん複数社に協力して頂きました。
で、納得できた脱クロムレザーを革製品に仕立てて実際に私が使ってみたので経年変化をご紹介したいと思います。

ヌメ!?と言われる経年変化
ずばり見て頂きます。

ハイブリッド(脱クロム)レザーの経年変化
パスケースなんですよね。
4年ぐらい使ってます。
普段、車移動なんで出番は少なめですが、かなり良いエイジングかと。

ハイブリッド(脱クロム)レザーの経年変化
ポケットに入れているので傷も多くアタリが出てます。

ハイブリッド(脱クロム)レザーの経年変化

ハイブリッド(脱クロム)レザーの経年変化
クロムレザーでは難しい刻印も綺麗に決まります。
こちらはベリンダと言うレザーですが、これだけのエイジングが出るなら積極的に素材とて採用していきます。

お客さんの声
もともとはお客さんの声から。
私が企画プロデュースさせて頂いた作品・商品の数々。
『かっこよいけど重たいので気合入れて使ってます。』
誰しも革らしい革であるヌメが好き。
鞄や革ジャンかっこよいけど重たい。
私も気合いれて使ってます(笑)。
『軽いヌメあらへんの?』
こんな想いから姫路の方々とプロジェクトに着手したのを思い出しました。
セルフ企画プロデュースブランドSpecialite & Entreeでは脱クロムレザーであるベリンダを始め脱クロムレザー使い始めました。

ハイブリッド(脱クロム)レザーの経年変化
数年ぶりにリリースしました。
Skin専用ケース『Dear Skin』から使い始めてます。


こちらも在庫僅かとなりましたので、是非作品の製作担当職人の技術の高さと、数年に及ぶ試行錯誤で出来上がったレザーの素材の良さを体感して頂ければと思います。

革って本当に魅力的な素材です。


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Posted by エイジングマスター at 22:03│Comments(0)お知らせエイジングを楽しむアイテムエイジングサンプル(小物)